島唄ブログdiary

旧盆の名物「アンガマ」も今年は中止

八重山のソーロン(旧盆)にはエイサーがない代わりに

アンガマ(姉ご・母親?)という芸能がある。

ソーロン(祖霊・盂蘭盆)の3日間は祖霊を慰めるために

後生(あの世)から現世(この世)へ戻ってこられる為に

ウシュマイ(爺)ンミー(媼)の面をかぶった

冥界の大主を装い先頭に花笠と手布を頬被った20数名の

子や孫たちを引き連れ要請のあった家々を廻り仏壇で口飾(フツカザリ)

(各家庭の繁栄を唱えることば)し無蔵念仏踊りをした後は

子や孫たちが歌、三線、太鼓、笛の音曲にのせ伝統的な踊りから

流行りの踊りなどを披露する。

また踊りの間を見て観客からウシュマイやンミーに珍問を突きつけると

即座に特有の裏声でユーモアを交えて珍答する客との絶妙な

タイミングで場を盛り上げてくれるお盆の風物詩である。

客と爺の定番な珍問答を一例紹介・・・

 

(客) 後生(あの世)へ行くときの心得は?

(爺) 聞いておけ!後生(冥界)に来るときの五箇条ご誓文がある

1 死んだら絶対に呼吸してはいけない

2 手足の爪を切り逆水を浴びる。産湯を浴びてはいけない

3 死んで冥界にくるときは一人で来ること。友達を連れてきてはいけない

4 石垣市役所に行って死亡届を出して来ること

5 死んで寝るときは必ず西枕をすること

(客)何故 西枕なのか?

(爺)人間生きているときは東から上がる太陽を拝む

死んだら太陽を拝む必要がないので西を枕にする

(客からは拍手がおきる)

別例・・・

(客)あの世にも宗教はあるのか?

(翁)良く聞いてくれた。 まず仏教、キリスト教、回教

島ラッキョウ、爺のドキョウ、そして婆のアイキョウー!

(客から爆笑がおきる)

アドリブで石垣ムニ(方言)での問答だから

ウシュマイ・ンミー役は頓知の利く者で

なければ務まらないのである。

今年は新型コロナの影響で伝統的なアンガマ芸能も中止に

なり冥界から下りてきた爺も婆もきっと寂しい思いを

されていると思うと同時に「コロナ禍だから仕方がない」

ウシュマイもンミーも高齢だから「命どぅ宝」と

冥界でも命を尊う尊うのか?

旧盆は31日ンカイルピィン(迎える日)9月2日ウクルピィン(送る日)

に当たります。故郷、実家の仏壇に向かって

うーとーとぅ!!

2002年、我が実家でアンガマを招待したときの写真。手前が弟、隣が愚生